9月利上げ観測が再び高まる:FOMC直前にFRBが方針転換する可能性はあるのか?

BTCCBTCC著者: furrykon

Jackson Hole 会議を経て、利上げが再び市場の最大の焦点の一つとなっている。

ロイターによると、FRB 議長 Kevin Warsh 氏は Jackson Hole 年次シンポジウムでタカ派寄りの姿勢を示し、インフレが十分なペースで 2%目標に戻っていると政策当局者が確信できなければ、FRB にはなお「やるべき仕事がある」と強調した。

発言後、9 月利上げ観測は急速に高まった。CME FedWatch では 9 月利上げの確率が 60%を超え、Kalshi も同様の予測を示している。これにより、新たな金融引き締めへの懸念が再び株式、債券、暗号資産市場に重くのしかかっている。


9 月の FOMC まで残り約 2 週間となるなか、市場最大の関心は次の一点に移っている。利上げ観測がすでに高水準まで上昇した今、土壇場で予想が反転する可能性はあるのか。

 

一、過去の経験:会合直前にFRBが政策ペースを変えた例もある

過去の傾向を見ると、FOMC 会合が近づくほど、市場予想は最終的な政策決定に近づく。

2016 年以降、FOMC の 3 週間前時点の市場予想が FRB の最終判断を正しく予測した割合は 93%で、外れたのは 5 回のみだった。会合 1 週間前になると的中率は 96%まで上昇し、誤ったケースはわずか 3 回となる。つまり、直前段階で市場が FRB の政策方向を大きく読み違えるケースは多くない。

ただし、少数の例外には注意が必要だ。2016 年以降、会合 3 週間前から 1 週間前までの間に、利上げ・利下げ回数の予想が変化したケースは 7 回あった。大きく分けると次の 3 種類だ。

● 大規模な外生ショック。例えば 2020 年 3 月のパンデミックでは米国経済が急速に停止し、市場は大幅利下げを急速に織り込んだ。
● 経済指標が既存の方向性を強めたケース。例えば 2022 年 9 月には強い経済指標を受け、市場が追加利上げを一段と織り込んだ。
● 市場予想が逆方向に修正され、最終的にFRBの決定と一致したケース。2016 年 6 月、2023 年 3 月、2023 年 6 月などが該当する。

なかでも 2023 年 6 月は参考になる。予想変化の重要なきっかけとなったのは、FRB 高官 Jefferson 氏が示した「skip」という考え方だった。6 月に利上げを一時停止しても、それは追加データを確認するための措置にすぎず、利上げサイクルの終了を意味しないという説明だ。その後 Harker 氏も公に支持し、市場予想は急速に修正された。

現在の市場への示唆は明確だ。FOMC が近づく局面で予想を大きく動かすのは、経済指標そのものだけではない。そのデータを受けて、FRB 高官が市場に新たな解釈の枠組みを提示するかどうかが重要になる。

 

二、利上げにはまだ不確実性:経済指標、原油価格、政治圧力

9 月利上げの確率はすでに高い水準にあるが、過去との比較ではまだ「確定的」と呼べるほどではない。

現在、市場は 9 月の利上げ回数を約 0.67 回分織り込んでいる。過去に最終的に 25bp の利上げが行われた FOMC を見ると、会合 3 週間前の市場予想は通常 0.7 回を上回り、平均は約 0.9 回だった。現在の織り込みは相対的に低く、今後修正される余地が残されている。


経済指標
最大の変数はインフレだ。Warsh 氏が Jackson Hole 後に再び「インフレ」を政策議論の中心に据えたことで、CPI の重要性は雇用統計を上回る可能性がある。コア CPI に明確な鈍化傾向が現れれば、市場予想を変える重要な材料となり得る。

雇用面では、非農業部門雇用者数が大幅に悪化し、失業率がさらに上昇すれば、FRB はより難しい政策判断を迫られる。追加利上げを続ければ景気下振れ圧力を強めるため、リスク資産では景気後退を織り込む動きが強まる可能性がある。


地政学的リスク
最近は中東情勢が不安定化しており、原油価格がインフレ期待と市場心理に与える影響は依然として大きい。9 月 2日時点で Brent 原油は 90 ドルまで上昇しており、客観的には 9 月利上げの可能性を高める要因となっている。

ただし、原油高が個人消費と企業利益を同時に圧迫する場合、市場は「スタグフレーション」や「景気後退」を織り込む方向へ移る可能性がある。その場合、利上げ確率が直線的に上昇し続けるとは限らない。


政府からの圧力
Warsh 氏は金融政策が White House の影響を受けないと繰り返し強調してきたが、Donald Trump 氏が以前から公然と利下げを求め続けてきたため、市場の疑念は完全には消えていない。中間選挙が近づくにつれ、Trump 政権から Warsh 氏への圧力が強まる可能性もある。

逆に、市場が利上げを強く織り込んでいる状況で Warsh 氏が突然据え置きを選択すれば、「政治的圧力の影響を受けたのではないか」との疑念を招き、FRB の政策信認を損なう恐れもある。

 

三、株・債券・為替市場はすでに利上げを織り込んだのか?

Warsh 氏の発言後、金融政策に敏感な米 2 年国債利回りは急上昇し、長期金利も高水準を維持した。ドル指数は上昇し、金は下落、成長株や暗号資産の値動きも大きくなった。

これは典型的な利上げ観測上昇時の市場反応だ。短期金利が上昇し、ドルが買われ、高バリュエーション資産には割引率上昇の圧力がかかる。

一方、株式市場の反応はより複雑だ。米国株はすでに利上げ圧力の一部を織り込んでおり、特に AI、半導体、クラウドコンピューティングなどの長期成長株でその影響が顕著となっている。長期金利が高止まりすれば、市場は将来利益の現在価値を引き下げ、遠い将来のキャッシュフローに依存するテクノロジー株の重荷となる。

9 月に実際に利上げが行われた場合、市場はまず「材料出尽くし」として反応する可能性がある。すでに利上げ観測は相当程度織り込まれ、米国債利回りも大幅に上昇しているため、利上げそのものの直接的な衝撃は限定的かもしれない。むしろ、短期間に連続して利上げされるリスクが低下する可能性もある。

一方、最終的に利上げが見送られた場合は、背景によって評価が分かれる。

第一のシナリオは、CPI、雇用統計、原油価格などが会合前に落ち着き、市場が事前に利上げ確率を引き下げているケースだ。この場合、FRB の据え置きによる悪影響は限定的で、むしろ金融緩和期待を背景とした相場につながる可能性がある。

第二のシナリオはより難しい。市場が依然として高い確率で利上げを織り込んでいるにもかかわらず、Warsh 氏が据え置きを選択するケースだ。FRB が十分に明確な説明を示せなければ、長期国債利回りがさらに上昇し、投資家が FRB のインフレ抑制能力や債券市場の変動管理能力を疑問視する可能性がある。これは 7 月の FOMC 後に見られた市場反応を再現し、高金利が米国株や金などの資産に明確な圧力を与える可能性がある。

暗号資産市場にとっても、9 月会合の影響は金利の軌道次第となる。利上げ実施後にドルと米国債利回りが低下すれば、BTC と ETH はリスク選好回復の恩恵を受ける可能性がある。一方、実質金利が上昇し続ければ、暗号資産への圧力は残る。

ステーブルコイン、オンチェーン上のドル流動性、RWA 分野への関心も高まる可能性がある。これらはドル金利、資金移動、オンチェーン金融需要との結び付きがより強いためだ。

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